世界の長寿記録

左:木村次郎右衛門 右:ジャンヌ・カルマン

(2015年1月作成)


スーパーセンテナリアン(110歳以上)の人々

記録の確かな、これまでで最高齢の女性およびこれまでで最高齢の人は、フランスのジャンヌ・カルマンさん(1875年2月21日生まれ、1997年2月21日に122歳で死去)。生年の1875年は日本の和暦では明治8年にあたり、アドルフ・ヒトラー(1889 - 1945)よりも14年、宮沢賢治(1896 - 1933)よりも21年も早く生まれたことになる。ジャンヌ・カルマンさんのさらに驚くべきことは、カルマンさんの没年齢(122歳と164日)の3年以内に入った人物が誰もいない(2位に大差をつけている)ことである。2位のサラ・ナウスさん(アメリカ、1880 - 1999)も3位と1歳半以上の差があり、1位と3位との差は4年以上もある。

カルマンさんと残り3人を含めた、上位4人の記録が卓越していて、上位4人の全員が亡くなってから15年以上も経っているにもかかわらず、それ以降上位4位内に入った人は誰もいない。1993年から1999年12月30日までの間、世界最高齢者の年齢が最も低かったのはカルマンさんの死去直後(1997年8月4日)で、116歳と340日まで下がったものの、その年齢を上回ることが出来たのは2000年以降、現在まで3人のみに留まっている。1人目のマリア・カポヴィッラさん(1889 - 2006)はその記録を7日間上回ったのみとなり、2人目の大川ミサヲさん(1898 - 2015)も9年前のカポヴィッラさんの記録を38日間上回ったに過ぎなかった。(参考:世界最高齢者の年齢グラフ

2016年11月、イタリアのエマ・モラノさん(1899 - 存命中)が2000年以降116歳340日を上回った3人目の人物となった。

記録の確かな、これまでで最高齢の男性は、日本の木村次郎右衛門さん(1897年4月19日生まれ、2013年6月12日に116歳で死去)。生年の1897年は和暦では明治30年にあたる。木村次郎右衛門さんは、偶然にもジャンヌ・カルマンさんが亡くなった時点で100歳以上だった、男女を含めた最後の人だった。

因みに、100歳以上の人のことは「センテナリアン」(Centenarian)と呼ばれる。

米国・ロサンゼルスにある老年学研究団体「ジェロントロジー・リサーチ・グループ」の作成しているリスト(www.grg.org/Adams/TableE.html)には、現在存命中とされる世界の高齢者の上位60人ほどが集められている。このリストはギネス世界記録の長寿記録の出典としても使われている。

ただし、全てのスーパーセンテナリアン(110歳以上)の人物をリストアップしているわけではなく、認定されるのは大半が111歳と6ヶ月以上の、スーパーセンテナリアンの中でもとりわけ高齢の人物に限られており、110歳以上になったからといって必ずしもジェロントロジー・リサーチ・グループのリストに掲載されるとは限らない。112歳以上でも掲載されないケースも存在する。実際には、世界の(存命する)110歳以上の人物は300人から450人いると推定されていて(※ジェロントロジー・リサーチ・グループの作成しているリストに「The actual estimated number of worldwide living Supercentenarians is more likely to be between [300 - 450] persons.」と記載されている。)、アメリカ合衆国だけでも60人から75人いるとされている。このことから、110歳以上の人のうち、ジェロントロジー・リサーチ・グループに認定されるのはほんの一握りであることがわかる。ただし、113歳以上となるとほとんどの人が認定される模様。

興味があったので、114歳以上に達した人物の表を作ってみた。


(歴代)世界最高齢記録保持者の移り変わり

「世界史上最高齢」のタイトルを持っていたと考えられる人々の時系列順の表。

1844年生まれ、1959年に114歳190日(180日とする出典有り)で死去したとされるマーサ・グラハムさん(記録が正しければ1958年から1985年までの史上最高齢者、マシュー・ビアードさんの年齢が認定されるまではジャンヌ・カルマンさんに破られる1990年までの史上最高齢者とされていた)の記録が長らく認定されていたが、2005年のギネスブックに記載された後、2012年までに非公認扱いになっている。そのため、デリーナ・フィルキンスさんが半世紀以上もの間記録保持者となっていた後、1980年から1990年までのおよそ10年間の間に史上最高齢の記録が4回も更新されたことになる。これは事実だったとは少し考えにくいため、(おそらく)フィルキンス氏とカルマン氏の間に入る、別の114歳、又は115歳以上の人物がいても不思議ではないと思われる。今後、このリストに加わる新しい人物が見つかるかもしれない。

キャリー・C・ホワイト(1874? - 1991)氏は116歳88日まで生きたとされるが、2012年にギネスブックは記録を取り消している。ホワイト氏の記録は同時期に泉重千代氏(1865? - 1986)の年齢が認められていたため、生前は世界史上最高齢とは見放されなかった(泉氏の記録を無効、ホワイト氏の記録を有効とした出典もあり、その場合はホワイト氏がカルマン氏に抜かされるまでの間の世界史上最高齢者。)。また、最初に110歳を迎えた人物を111歳354日まで生きたオランダの男性、トマス・ペテルスさんとした出典もある(現在は非公認、参考:ジェロントロジー・リサーチ・グループが2007年に作成した110歳以上の人のリストに掲載)。その場合、1927年にフィルキンス氏に抜かれるまでの約70年間、史上最高齢記録者だったということになる。

なお、マシュー・ビアードさんとオーガスタ(アウグスタ)・ホルツさんの記録が正しいものであると認識されるようになった時期は泉重千代さんとキャリー・C・ホワイトさんの記録が取り消された時期と同時期の2011年から2012年頃であり、本人の死後となっている。現在、「史上最高齢者」のタイトルを持ったことがあると認定されている下記8人のうち、本人の存命中に、自分自身を「史上最高齢者」だと認識することができていたのは、ジャンヌ・カルマンさん一人のみだったと思われる。

記録保持期間
名前
性別
年数
日数
生年月日
没年月日
? -
1902年9月30日
ヘアート・アドリアーンス
男性
110
135
1788年9月21日
1899年2月3日
1902年10月1日 -
1925年8月18日
(22年,321日)
マーガレット・アン・ネーヴ
女性
110
321
1792年5月18日
1903年4月4日
1925年8月19日 -
1926年9月20日
(1年,32日)
ルイーザ・ティエール
女性
111
138
1814年10月2日
1926年2月17日
1926年9月21日 -
1980年11月15日
(54年,55日)
デリーナ・フィルキンス
女性
113
214
1815年5月4日
1928年12月4日
1980年11月16日 -
1984年4月18日
(3年,154日)
ファニー・トーマス
女性
113
283
1867年4月14日
1981年1月22日
1984年4月19日 -
1986年3月10日
(1年,325日)
マシュー・ビアード
男性
114
222
1870年7月9日
1985年2月16日
1986年3月11日 -
1990年5月11日
(4年,62日)
オーガスタ・ホルツ
女性
115
79
1871年8月3日
1986年10月21日
1990年5月12日 -
現在
(26年+)
ジャンヌ・カルマン
女性
122
164
1875年2月21日
1997年8月4日

※「長寿日本一」として記録が残っている日本の小林やと(やす)氏(記録が正しいなら1846年生、1964年に118歳88日で没)、中村重兵衛氏(記録が正しいなら1852年生、1969年に116歳329日で没)、森本いと氏(記録が正しいなら1853年生、1970年に116歳296日で没)の年齢はジェロントロジー・リサーチ・グループによって認められていない。
参考 小林氏の死去記事(朝日新聞縮刷による) / 中村氏の死去記事(朝日新聞縮刷による) / 森本氏の死去記事(朝日新聞縮刷による)


トリビア

● ヘアート・アドリアーンス氏の死去(1899年2月3日)以前、すなわちヘアート・アドリアーンス氏の存命中に生まれた人の最後の生き残りは1898年7月4日生まれのアメリカの女性、ガートルード・ウィーバーさんで、2015年4月6日に116歳9ヶ月で亡くなった。ヘアート・アドリアーンス氏の存命中に生まれた最後の生き残りの男性は木村次郎右衛門さんで、2013年6月12日に116歳54日で亡くなった。

● マーガレット・アン・ネーヴ氏の死去(1903年4月4日)以前、すなわちマーガレット・アン・ネーヴ氏の存命中に生まれた人は、現在世界に10人以下しか残っていないと思われる。マーガレット・アン・ネーヴ氏の存命中に生まれた最後の男性は日本の小出保太郎さんで、2016年1月19日に112歳10ヶ月で亡くなった。

● 世界史上最高齢者のジャンヌ・カルマンさんは12歳か13歳のときに画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853 - 1890)と対面したことがあったという。

● 世界歴代3位の長寿のルーシー・ハンナ(Lucy Hannah)さんの画像は確認されていない。「NAVERまとめ」のこのサイトの画像は別人の画像である(その画像の人物は白人だが、ルーシー・ハンナさんは黒人だったとされているので別人だということが分かる。そもそもハンナさんの画像だと確認がとれる出典も無い。またそのサイトにはハンナさんの姉妹の2人が100歳を超えていたなどと書かれているが、出典が無く本当かどうかという根拠が無い。)。


長寿の著名人

現在存命中の、これから長寿日本一や世界一になりそうな(なるかもしれない)著名人を10人挙げてみる。

名前 性別 生年 年齢 備考
日野原重明 男性 1911年10月4日 105 医師。110歳まで生きることを目標にしているという。
矢野年子 女性 1914年4月14日 102 蟹江ぎん(きんさんぎんさんのぎんさん、1892-2001、108歳で没)の長女。
デイヴィッド・ロックフェラー 男性 1915年6月12日 101 アメリカの銀行家・実業家。「石油王」ジョン・D・ロックフェラー(1839-1937、97歳で没)の孫で、ジョン・D・ロックフェラーの孫で存命中なのは彼が唯一。父のジョン・ロックフェラー2世も86歳まで生きている。
津田千多代 女性 1918年10月21日 98 蟹江ぎん(きんさんぎんさんのぎんさん)の三女。
佐野百合子 女性 1921年5月18日 95 蟹江ぎん(きんさんぎんさんのぎんさん)の四女。
エディンバラ公フィリップ 男性 1921年6月10日 95 エリザベス2世の夫。
高木百合子 女性 1923年6月4日 93 今上天皇の叔父の三笠宮崇仁親王(2016年10月に100歳で薨去)の妃。
エリザベス女王
(エリザベス2世)
女性 1926年4月21日 90 イギリスの君主で、現在世界最高齢の君主。母のエリザベス・ボーズ=ライアンは101歳まで存命。
ラウル・カストロ 男性 1931年6月3日 85 キューバの最高指導者で、キューバ革命を指導したフィデル・カストロ(90歳まで生きた)の弟。
三浦雄一郎 男性 1932年10月12日 84 日本の登山家。2013年5月に80歳7ヶ月でエベレスト山に登頂(世界新記録、それまでの記録は76歳11ヶ月だった。)するという超人的な記録を達成している。父の三浦敬三は101歳まで生きている。

エリザベス2世
フィリップ殿下とエリザベス2世(長寿の夫婦)。

デイヴィッド・ロックフェラー
デイヴィッド・ロックフェラー。彼はまだ生きている。

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